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【Notion × Figma共催】ポストコロナとAI時代、組織変革とツールの関係を考える

作成者: Katsukiyo Nishi

Japan General Manager

約 12分で読めます

Notion × Figma、日本で初の共催イベントを開催

2023年5月29日、NotionとFigmaは日本で初の共催イベント『ポストコロナとAI時代、組織変革とツールの関係を考える』を開催しました。共にサンフランシスコに本社を置き、新しい働き方を促進するビジネスツールとしてプロダクトを展開する両社が、「組織変革とツールの関係」というテーマに沿ってパネルディスカッションを実施。またゲストスピーカーにTakram Japan株式会社 代表の田川 欣哉 様をお招きし、オンライン・オフラインでの働き方の変化、Takramでの各社ツールの活用方法などについてお話いただきました。

#Figma #Takram

各社公式ホームページ

登壇者紹介

Takram Japan株式会社 代表 田川 欣哉 様

プロダクト・サービスからブランドまで、テクノロジーとデザインの幅広い分野に精通するデザインエンジニア。主なプロジェクトに、日本政府の地域経済分析システム「V-RESAS」のディレクション、メルカリのCXO補佐などがある。経済産業省・特許庁の「デザイン経営」宣言の作成にコアメンバーとして関わった。東京大学工学部卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修了。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェロー。東京大学総長室アドバイザー。

Figma Japan株式会社 カントリーマネージャー 川延 浩彰 様

下関市立大学経済学部卒業後、兼松エレクトロニクスに入社。その後、渡米を経て、カナダビクトリア大学MBA(Entrepreneurship専攻)修了。帰国後、2011年3月からブライトコーブにてマーケティング、営業など様々な業務に携わり、日本のメディア事業統括並びに営業責任者を歴任、韓国事業GMを経て本社SVP兼代表取締役社長に就任。2022年1月にFigmaのVision『すべての人がデザインを利用できるようにする』に強く共感し、Figmaの日本カントリー・マネージャーに就任。愛知県出身、フットサルと旅行をこよなく愛する2児の父。

Notion Labs Japan合同会社 ゼネラルマネージャー 西 勝清

大学卒業後、シスコシステムズへ入社。セールス部門で多数の大手企業のグローバル展開プロジェクトに貢献、社長室戦略 チームで事業企画や戦略策定を経験。2012年 LinkedIn Japanに立ち上げメンバーとして入社。人事向け法人営業部門を 統括。2019年 WeWork Japanに入社。営業シニアディレクターとして戦略と組織を構築、事業拡大を牽引。2020年9月より Notion日本1号社員として、営業・マーケティング活動を始め、ビジネスオペレーション全般を担当。福岡出身、オランダ・エラスムス大学 ロッテルダム経営大学院 MBA。

Takramが考える、働き方に必要な組織変革

まずTakram Japan 代表 田川様にご登壇いただき、 刻々と変わる顧客のニーズに対してどうすれば良質なプロダクトを作っていけるのか、組織と人材について、そして今の時代でなにが起こっているのか、3つの切り口からTakramの働き方と必要な組織変革についてお話しいただきました。

田川様:ポストコロナというキーワードがありますが、昨今クライアントやユーザーはものすごいスピードで変化をしています。コロナが一つのベンチマークとすると、コロナ禍では出社しなくなり、コロナ後ではそれが元に戻ると思っていた。しかし実はオフィスへ戻っているのは部分的であり、フル出社に戻したいという声もある。自分たちのクライアントやユーザーのマインドセットがどうなってるかよくわからない。この”よくわからない”という部分をどこまで減らすことができるかがとても重要です。

また人というのは単体自立している訳ではなく、スマートフォンを使ったりパソコン使ったり、いわゆる「人工物」を身につけて行動しています。例えばAIが発表されたときにAIを持ってる人と、持ってない人は一見同じ人だけれども、それぞれ異なる行動をする。つまり人工物が変化すると人間が変化する、人工物によって行動変容が起こっていきます。

ではそういった時代背景の中で、どうやったら良いプロダクトが作れるのでしょうか?

新しい企画を立ち上げる際、大きく分けると三つの職種がプロダクト開発に関わってきます。ビジネススタイル、テクノロジーを扱う技術職、デザインやユーザー理解を専門にするクリエイティブ職。この三角形をBTCトライアングルと呼んでいますが、この職種の方々が1つのテーブルに集まって同時多発的に仕事を行います。この複雑な擦り合わせにより、プロダクトというものが一つの価値を帯びることができます。BTCトライアングルはバケツリレーでプロダクトを作成しますが、複雑なものほど難解で開発は困難です。そのため仮説と検証を行いながら、議論を重ねます。

いずれにしても、コラボレーションが組織変革の一つの方向性であると考えています。ユーザー理解を基軸にしながら、BTCトライアングルのように運用する人たちが一箇所に集まり価値を統合していく。そしてそれを更に発展させてコミュニケーションまで持っていくこと。この三つをやりきることで、いわゆるモジュールが作れないか?というのが私から皆さまへのメッセージです。

なぜなら受け取るユーザーは1人の人であり、設計のポイントであろうがデザインだろうが、コミュニケーションであろうが、一体的に捉えます。そこには一つの統合された個性が必要になります。そういった意味でも、NotionとFigmaはデジタル作業環境の上でコラボレーションを実現するツールになっているのではないかと思っています。

FigmaとNotionがもらたす組織変革とは

第二部では変化に柔軟に対応できる組織やチーム作りのポイントと事例について、組織とツールの関係に焦点を当てながら、3社でパネルディスカッションを実施しました。

西:先ほどのお話の中で、ユーザーを理解するには一箇所に集まったコラボレーションが重要、という言葉がありましたが、Takramさんはここ数年から今に至るまでどういった組織変革をされましたか?

田川様:皆さまもコロナ禍により、働き方の変化を体感されたと思います。アイデアを出し合ったり、作業を行ったり、社外の方々とのミーティング、ほぼ全てがオンラインの3年間だったのではないでしょうか。TakramはFigma、Notionをコロナ直前から導入したことでコロナ禍を乗り切れたのかなと思っています。

西:コロナ禍によりオンラインへと働く場所が変わりましたが、現在はどうでしょうか。

田川様:様々な意見が溢れていると思います。フルでオフィスに戻ってきた方がいいのではないかという意見もあるし、全部オンラインの方が良いという意見もあるかもしれません。Takramは8割がオンライン、2割がオフラインに戻ってきています。「デザインとイノベーションの仕事がオンラインでできるのか」という声もありましたが、効率を見ると作業スピードは上がってきています。ただ、メンバー同士の信頼感やコミュニケーション、一気にアイデアを飛躍させないといけない局面などではFace to Faceを心がけています。オンラインとオフライン、両方の良さをしっかり区別と理解をして、プロセスの中で適材適所に使い分けていくかが重要です。

西:オンラインとオフラインでの実施、検討する際の鍵となるポイントは何なのでしょうか?

田川様:いくつかあると思いますが、コロナ前にオフラインでやっていた作業を、オンライン上に移行させることは、ほぼ完了したかなと思います。リサーチからコンセプトづくり、具体的なデザインづくりまで、基本はオンライン上で進めています。最近のAIの動向もあり、オンラインの方がオフラインより作業が早くなるという環境を体感しています。

オンラインで出来ることはオンライン。しかしオフラインこそのコミュニケーションもあるので、オンラインをベースとしつつ、オフラインで必要なものを埋める形で考えています。

西:なるほど!面白いですね。Figmaはいかがですか?

川延様:私たちもオフラインのコミュニケーションをすごく大事にしています。典型的な例として、オフィスのことをオフィスと呼ばずにHubと呼んでいます。HUBは人と人が交わり合う場所、Figmaというオンラインのソリューションを提供している会社だからこそ、オフラインの大切さをしっかりと理解し、オフィスを有効活用しています。割合で言うと、週に少なくとも2回はオフィスを使ってほしいというお願いをしています。オンラインとオフラインのバランスを取りながら、業務を行なっています。

西:NotionもFace to Faceを重視していると共に、テレビ会議など同期的なコミュニケーションにも限界があるため、非同期コミュニケーション「Async」も大事にしています。それぞれの考え方も尊重し組織の働き方を変えていこうと考えています。そういった考え方から働き方自体は変わっていくと思いますが、しかし何を目標として働き方は変わるのでしょうか?

田川様:やはりコラボレーションの質とスピードだと思っています。新しいものを作るときには、仮説を立てそれを確かめて、そうするとまたエラーや誤解がわかる。そして次の仮説を無数に立てていく必要がある。一回の仮説検証で、間違いを半分に圧縮できるとしたら、二分の一をかけて再度仕掛けていきます。これを何回繰り返せるかでエラー率の低いアイデアに到達できるかが決まってくる。そのスピードは僕らの仕事からするとクリティカルで、どうやって仮説検証のスピードを短縮できるかのアイデアを上げていき、使う時間を短縮していくのかがポイントです。

オンラインツールであれば、そのキャッチボールのスピードが速いとか、全員で集まるよりも5分だけオンラインでミーティングができるとか、そういうポイントはすごく大事かなと思います。

組織変革に必要なコラボレーションツールの活用法

西:Takramさんは、NotionとFigmaを使いこなしていただいていると聞いています。どう使っていただいてるのかを教えていただけませんか?

田川様:僕らはほぼ100%のプロジェクトにFigmaとNotionを使ってます。FigmaではUIデザインやヴィジュアルデザインを組んだり、Notionには会社の主要ドキュメントが全て格納されています。メンバーの紹介からプロジェクトのミーティングメモ、さらにミッション・ビジョンなど、全てがNotionに記載されていて、Notionがないと僕らの仕事は成り立ちません。またプロジェクトにおいてクライアントの方々とコラボレーションする際も、文字ベースはNotion、ソフトウェア設計やヴィジュアルデザインが必要なものはFigmaを使用し、それぞれ参照しながらプロジェクトを進めています。FigmaはCGデザインを仮想デジタルで組んだり、Notionには会社の主要ドキュメントを全て入れています。メンバーの紹介からプロジェクトのミーティングメモ、さらにミッション・ビジョンなど、全てがNotionに記載されていて、Notionがないと僕らの仕事が成り立ちません。またプロジェクトにおいてクライアントとコラボレーションする際は、文字ベースはNotion、デザイン画が必要なものはFigmaを使用し、それぞれ参照しながらプロジェクトを進めています。

またFigmaに関しては、たとえばプレゼンテーションツールとしての使い方を例にとると、他のツールとの大きな違いを感じます。Figmaは元々オンライン向けのコラボレーションツールとして発展してきたので、複数人による円滑なコラボレーションが可能です。たとえば、Figmaを使えば、僕のプレゼンテーションを他のメンバーと共同作業で作っていくことも快適にできますし、それをコピーして、個人個人のプレゼンテーションに追加することも簡単です。
またユーザー体験において、重視されるポイントの半分はレスポンスです。サクサク動かないとビジネスの中で使えません。その点、NotionとFigmaはどちらもものすごく軽い。そのため、スペックが高くないパソコンでも使用出来ますし、画面サイズに依存せずにプロジェクト展開が可能です。Figmaはズームイン・ズームアウトができるので、例えば低スペックのマシンを使用するバックオフィスの方ともコラボレーションが簡単に行えます。

川延様:FigmaやNotionはツール上で、誰がどこでどういう形で作業してるのかを一目で確認ができるのも特徴ですね。

田川様:部署の垣根を越えて一箇所に集まって作業行うことが、組織変化のすごく大きなポイントだと思っています。フロアに分かれて部署があって、部署には鍵がかかっているという状況でコラボレーションするのは非常に難しい。コミュニケーションが一箇所で可能、しかも高いセキュリティの中でコラボレーションできる。さらにクライアントやパートナーの皆さまも一箇所に呼び込んで、プロジェクトチームとしてオンボーディングが可能になる、これは非常に素晴らしいことだと思います。

『学習と学び』を通して力強い組織へ

西:自分たちが行いたい働き方のためにツールを使っていると思いますが、ツールを使うことでチームが変わったと体感されたことはありますか?

田川様:ユーザーが変化をしていく中で、我々はそこに対して謙虚になって観察をしたり、ユーザーの話を聞く必要があります。しかしそれらを全て包括するキーワードは何なのか?
それは『学習や学び』ではないかと思っています。刻々と状況が変わっていく中で、力強い組織が備えている大きな共通の特徴は、学びが得意かどうかです。特に個人の学びというよりも、組織の学力です。組織自体の学習能力が高ければ、組織内のメンバーも自己改変するスピードが速いし、例えば外界の状況が良くも悪くも変化しても、1年以降に自分たちが良い組織に自己改変していく能力があります。NotionとFigmaに共通しているのは、一箇所に集まるコラボレーションにより学び合いが起こるということ。垣根を無くし多様な視点と意見を一箇所に集めることで、みんなが自由に議論できる状態になる、これが学習速度にものすごい差を生みます。それにはからくりが必要だと思うんです。どうしたら我々は、より良き学習者になれるだろうか、学ぶ組織であり得るだろうか、恐らく最初にツールを作られた方々の一つのテーマになってるのではないかと思います。

西:ありがとうございます。ツール活用のお話をいただきましたが、TakramさんのNotion活用方法は、Notionが社内で使っている構造にすごく似ていますね。

田川様:TakramはNotionが米国でローンチされて、日本で使い始めた最初のユーザーの1社だと思います。ポッドキャストでNotionが素晴らしいとその愛を訴えることもありました。そこで西さんにNotionが自社で使ってる情報整理の仕方をレクチャーいただき、Takramもそれをベースに組み上げていきました。

新しい働き方には、まずチームでの成功体験を

西:しかし、一方で「大企業は違う、それは小さい組織だからできることではないか」という声もあります。それについてはいかがでしょうか?

田川様:コロナ以前と今の差を見ていて、大きく変わってきていると感じるのは、情報セキュリティへの考え方や、オンラインのコラボレーションに対する信頼感。以前は、大企業の皆さまに一緒のツールを使ってプロジェクトを行いませんか?と提案しても情報システムの方にブロックされてしまうと言われることが多くありました。しかし最近はツールの導入を拒まれることは少なくなくなりましたね。また大きい組織で一括のツールを導入し、生産性の向上という成功体験を積んできた企業は、まず部署単位で導入してそこから少しずつ広げていますね。

西:Figmaさんは活動されていてどう感じますか?

川延様:企業規模もありますがこういったツールを導入いただく会社は、テック企業でしょ?という感覚があるのではないかと思っていました。しかし、その流れがだいぶ変わってきていると感じています。もちろん、テック企業の方が最先端のツールを率先して導入いただく流れはありますが、最近のトレンドとしてはそれがテックに特化してない企業、日本の多くの企業でも導入が進んできてると感じています。

西:そうですね。大手企業でもトップの方はすごい危機感を持っていて、透明性という言葉をよく聞くようになりました。以前は情報持ってる方が偉く、それが力の象徴だったが今はそうではないというトップメッセージを発信したり、現場の方がどういう風にしたいのか、働き方とツール含めて知りたいと思っているトップが増えてきいます。新しい働き方を実践してみようという機運はかなり高まってきているように感じます。また大企業においては、まず小さなチームからスタートしてみるということも多く見受けられます。

コラボレーションツールで、新しい働き方の第一歩を

西:最後に組織変革に向けて、何から始めれば良いのでしょうか?

田川様:今日はNotionとFigmaの両ツールがテーマでしたが、その背景にあるのは、僕らの仕事自体がデジタル上で行われるようになったこと。その昔コンピュータは人間にとっての自転車と言われましたが、そこにAIが出てきて今は自動車くらいのスピードを持っています。僕らがドライバーだとして、自分たちの生産性は10倍とか100倍になるかもしれないという時にどうコラボレーションツールを導入して、組織の中で運用し、そしてそれを使うこと自体が目的ではなく、そのツールを使うことにより、働いてる人たちがよりよい学習者になり適応していけるのか。経営側から見ても非常に大きな問いだと思っています。
そういったことに対して、FigmaやNotionはものすごく高いレベルでそれが実現できるようなツールなので、ぜひまだお使いになってない方々はスモールでも導入して使ってみてください。ネットワークが広がっていく中で働き方自体が変わるかもしれないと、少しだけ踏み出していただければと思います。TakramはNotionとFigmaが無いと、いまのパフォーマンスが半減するのではないかと思っているほどですし、他のデジタルツールも使用しながら、自分たちを常にアップデートしていこうと思っています。

川延様:皆さまにお伝えしたかったのは、Figma=デザイナーが使うのではなく、Figma=全ての人が使っていただけるようなツールというのを今日お話を通して、少しでも多くの方にご理解いただけたらなと思います。

西:新しいツールを使う、働き方を試す、そんなビッグウェーブを感じています。それはトップの方を含めて、とにかく新しく試してみようという機運が高まっているからではないでしょうか。ツールを目利きする力が変わっており、以前の詳しい方はIT関連の方が中心だったのですが、今は個人個人が自分でポッドキャストを聞いてツールを使い、詳しくなる。それが合わさることによって大きな変化が起こせるのではないかと思っています。

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